花屋での出来事 ☆二子玉川店 新作ご紹介【Exquisite J(エクスクィジット・ジェー)】
“Exquisite”=“絶妙な” センスを放つExquisite J(エクスクィジット・ジェー)より、2026年春夏コレクションがイタリアから到着しました。手仕事の温もりを感じる編み地や、遊び心あふれるモチーフ、鮮やかなカラーリング。熟練した職人の技とアーティスティックな感性が融合したベルトやアクセサリーは、シンプルな装いに軽やかな彩りを添えてくれます。陽射しに映える、Exquisite Jならではのクリエイティブな世界をお楽しみください。
よく「畳の上で死にたい」と言いう言葉がありますよね。家で家族に見守られながら、自然な形で穏やかに最期を迎えることですが、ジャック・プレヴェールの詩集を先日読んでいたら、「もし私だったら実家ではなくてこんなドラマチックな最期もいいかもな」などと妄想が膨らむのは私の悪い癖です。
ジャック・プレヴェールの詩集『言葉たち(Paroles)』に収められている「花屋で(Chez la fleuriste)」には言葉自体は非常にシンプルで平易ですが、だからこそ削ぎ落とされたドラマの輪郭が鮮烈に浮かび上がります。
『花屋で』
一人の男が花屋に入り
花を選ぶ
花屋のおばさんは花を包む
男はポケットに手を入れる
お金を取り出すために
お金を払うために
だが男は突然
心臓に手をあてる
そして倒れる
男が倒れると同時に
お金が床に転がる
そして花が落ちる
男が倒れると同時に
お金が転がる
花が落ちる
そして花屋のおばさんはそこに立ち尽くしている
転がるお金の音を聴きながら
男の息が絶えるのを眺めながら
そして花は
行き先を失い
その匂いを放ち始める
花屋の店内の
あまりにも冷ややかな静けさの中で。
男が命を落としたことで、彼が選んだ「花」は、本来届くはずだった「愛する彼女」という目的地を永遠に失ってしまいます。
美しくラッピングされ、リボンで結ばれた花束は、幸福の象徴から一転して、誰も受け取ることのない「孤独と空白の象徴」へと反転します。
プレヴェールは、この「行き先を失ってぽつんと残された美(花)」を描くことで、人間の営みの儚さと、人生の不条理さです。そしてコインは転がり続けます。
一篇の詩が、光(幸福)と影(現実)を同時に描き出すように、今シーズンの Exquisite J もまた、私たちの日常の多面性を映し出しています。美しいカラーリングコンビネーションの金属のバックルや、たおやかで愛らしいラフィアの花のバックル。
あなたの心は今、幸福な花を求めていますか?
それとも、知的な現実のラインを求めていますか?
ぜひ、店頭であなただけの『物語』を巻いてみてくださいね。
【二子玉川ブログ執筆】 戒田 格(かいだ いたる) 横浜在住。学習院大学大学院フランス文学博士前期修了。専門は19世紀に活躍した詩人のロートレアモンです。一見、ファッションとは対極にあるような文学の世界ですが、そこにある『強い意志』や『美への執着』は、私が店頭でご紹介する一点一点の商品にも通じていると現場で日々感じています。 休日はフランス15世紀の発祥のマルセイユ版のタロット占いと研究をしています。 (二子玉川店6年目)