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    D-due | ガリシアからの贈りもの 〜大地に調和する、伝統と手仕事の循環〜

    2025.09.20

    スペイン/ガリシア地方を拠点とする老舗ドレスメーカー発祥のブランド、D-due(デ・ドゥエ)。デザイナーはロサリオ・フロハンとアルフレド・オルメドの二人。彼らのコレクションと深い関わりを持つガリシアの魅力と、アトリエでのものづくりについて現地を取材した。




    デザイナー ロサリオ・フロハン(左)&アルフレド・オルメド(右)

    スペイン・ガリシアでのものづくりについて

    この土地で制作することに、 どのような意味がありますか?
    ガリシアは私たちが暮らす場所であり、 D-dueのDNAそのものです。デザインチームから縫製までが身近にあり、同じ土地で暮らす仲間たちと、まるで家族のように仕事をしています。チームのメンバーは皆、このガリシアの土地に10年以上住んでいる人ばかり。
    見せかけのライフスタイルではなく、日常そのものとして自然や伝統と向き合っているのです。

    ガリシアの美しい自然に囲まれたD-dueのアトリエ

    1階のデザイン・制作スペースではアルフレドが原画を描いたり、デザインチームのミーティングが行われる。

    アトリエ1階の事務所スペース

    アトリエ2階の開放的なショールームの窓からは、遠くに海も見える。

    2階にはダイニングエリアも備わっており、取材当日はデザインチームが朝食を用意してくれた。

    制作のプロセスで大切にしていることは?
    デジタル化が進む時代にあっても、手から生まれる創造を大切にしています。すべての服は必ず、手描きのスケッチから始まり、色鉛筆で描かれるキャラクターやモチーフがコレクションの種となります。グラフィックが種となり洋服が生まれるというユニークなプロセスは、D-dueでしか見られないものでしょう。
    工場では布を手で裁断し、細部の表情を確かめながら形にしていきます。人の手を介することで服には温度が宿り、ただハンガーに掛けるよりも身にまとうことで熱を放ち、着る人の個性に寄り添って自然にフィットしていくのです。

    2025秋冬コレクションの題材となった、ガリシアに生息する苔(こけ)を擬態化したキャラクター「MOSSY」の手描きイラスト。

    コレクションの至る所に、このMOSSYがプリントや刺繍で登場する。

    アトリエ1Fの工場を案内してくれたアルフレド。

    巨大な作業机に大きく広げた生地を、機械を使用せずに手で一気にカットしていく。裁断の工程にも人間味を感じられる瞬間だ。

    デザインから撮影まで全てが身近で完結する、真の循環型ビジネス

    D-dueが考える 「サステナブル」とは
    多くのブランドがこの言葉を掲げていますが、私たちにとって特別な概念ではなく、証明するラベルも必要ありません。なぜならガリシアに根差し、手仕事の伝統を受け継ぎながら、0km地点で暮らす人々と共にものづりを続けてきたこと自体が、持続可能性そのものだからです。
    たとえば大量生産による服を田舎で撮影し、自然を知っているかのように振る舞うのは、虚像に過ぎません。D-dueではデザインから裁断、縫製、撮影まで、全てが同じ土地で循環し続けています。小さな規模だからこそ守れるこの循環こそが、 私たちにとってのサステナブルなんです。
    技術や手仕事の継承についてはどう取り組んでいますか?
    D-dueとして、1960年代から続く手仕事の技術を守っていきたい。ただ、当時から働いてきた職人たちがリタイアを迎える今、若い世代へ技術をつなぐことは大きな課題です。伝統的な縫製や裁断の技術を守りつつ、最先端のテクノロジーも取り入れる。その両立が、これからのものづくりの道だと考えています。そして、D-dueの服を通してこの土地発祥のものづくりを、世界に発信していきたいと考えています。

    2025秋冬コレクションの題材となった苔が生息する、アトリエ付近の森で撮影。

    地元民が集う、アトリエからほど近い小さな街。この日はキリスト教の祭日で、花の絨毯が街中を彩った。

    バンドの演奏に合わせて陽気に踊り出すデザイナー二人。

    ガリシアの地形を象徴する、美しいリアス式海岸。D-dueの過去のコレクションにも登場する。

    森も海も美しいガリシア。海辺では地元の子供たちが海水浴を楽しむ姿も。

    2025年秋冬コレクションについて

    「MOSSY」というキャラクターはどこから着想したのですか?
    MOSSYは、ガリシアの森に生きる苔(こけ)から生まれました。苔は、非常に雨の多いガリシアを象徴する神聖な存在であり、生態系を守るため法律で採取すら禁じられています。
    粘土で作業をするなかで偶然生まれたこのキャラクターは、ガリシアの自然の神秘と共鳴し、コレクション全体を導く存在となりました。

    アトリエの近所にある、苔が生息する幻想的な森。

    アルフレドが粘土で制作したMOSSYのキャラクター


    2025年9月19日(金)より、D-due(デ・ドゥエ)と日本のウィメンズウェアブランド Antipast(アンティパスト)による特別なコラボレーションアイテムが発売。D-dueの2025秋冬コレクションのキャラクター「MOSSY」が施された遊び心あるデザインと、ANTIPASTならではのソフトな着心地をたのしんで。

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