péro | インドの大地と人を結ぶテキスタイル

目次

インド出身のデザイナー、アニース・アロラによるアパレルブランド、péro(ペロ)。ブランド名はマールワール語で[to wear = 着用]を意味し、インドのローカルなドレススタイルや日常着からインスピレーションを得ている。
今回、H.P.FRANCEの40周年を記念し、アニースのスペシャルインタビューをお届けする。




画像

デザイナー アニース・アロラ

画像

péroのものづくりとインスピレーションについて

創作活動において、最も大切にしている感情や感覚は何ですか?
私にとって創作の原点は“好奇心”と“喜び”です。大切にしているのは、これまで触れたことのない質感や柄、技法を見つけた時の、子どものような驚きやワクワク感。そしてもうひとつは“ゆっくりであること”への深いリスペクトです。生地そのものや、携わる人の手、背景にある物語が、それぞれの時間で自然にほどけていくのを大切にしています。
画像

画像

画像

あなたの仕事に欠かせない色や素材、形はありますか?
私はいつも自然素材に惹かれます。コットン、リネン、シルク……そこには不完全さや命の気配が宿っています。色はただ鮮やかであれば良いのではなく、必ず感情と結びついています。インディゴの青、色あせたピンク、太陽にさらされた黄色。それらはまるで、一度誰かの時間を生きたような深みを持つ色です。形はシンプルで普遍的であり、テキスタイルそのものを主役にしたいのです。
画像

画像

画像

ブランドを通して、どんな物語や価値を世界に伝えたいですか?
péroの核にあるのは“人と人とのつながり”です。一つひとつの服は、作り手と着る人との対話であり、伝統と現代の会話でもあります。服を通して、作り手の手の跡や土地の記憶、そして、“立ち止まって美しさを味わう喜び”を感じてもらえたらと思っています。
画像

péroのアトリエで働くチームのメンバー。

最近の作品づくりにおいて、インスピレーションを受けた体験を教えてください。
先日、インド国内の小さな機織りの村を訪れた時、代々受け継がれてきた古い織機を目にしました。糸は不均一で、木材には時の痕跡が刻まれていましたが、そこから生まれる布には驚くほどの「魂」がありました。その出会いで改めて思い出したのです。私たちがものづくりをするのは、人間的な不完全さを、均一さを追い求める世界の中で生かし続けたいからだと。
画像

H.P.FRANCEを40周年を祝うテーマ“LOVE”が刺繍されたスペシャルノベルティ。2025年12月より展開予定。

画像

画像

デリーにあるpéroのファクトリー。

インド・デリーでの暮らしと、街の魅力

画像

ニューデリーの史跡「フマユーン廟」。

デリーの街の雰囲気や人々、風景は仕事にどのような影響を与えますか?
デリーは古さと新しさが共存する街。その魅力は、“矛盾”にあります。朝は何百年も前から続く路地を歩き、夜は現代的で賑やかなカフェで一日を終えることができる。過去と現在、伝統と遊び心の重なりとして、その対比が私の仕事に自然と染み込んでいます。
画像

セントラル・パークを中心に広がるデリーの巨大マーケット「コンノートプレイス」。

画像

観光メッカでもある階段井戸「アグラーセン・キ・バオリ」。

画像

デリーの南東に位置する「ロータス寺院」。

画像

デリーの最も象徴的なモニュメントの一つである「インド門」。写真は、77回目の独立記念日にライトアップされた様子。

あなたがデリーで一番好きなところは?
私はインド・ラジャスターン州の小さな町、ウダイプルの出身です。その後18年間デリーで暮らし、現在もアトリエを構え、自分なりの小さな世界を築いてきました。デリーの魅力は「矛盾」にあります。速いリズムと混雑に圧倒される一方で、ヤムナ川に沈む夕日、小さな茶店での会話、街角に溢れるマリーゴールド。そんな優しくて親密な瞬間を与えてくれるのです。
画像

アニースの故郷、ウイダプルのピチョーラ湖沿いに広がる「シティ・パレス」。

画像

ウイダプルの遺跡から見た市街地。

画像

ウダイプル市民の憩いの場、「侍女たちの庭園(サヘーリョーン キ バーリー)」。

画像

夕暮れと、ピチョーラ湖上に浮かぶ「タージ レイク パレス」。

デリーの街の中で特に惹かれる場所はありますか?
古いバザール ※市場や商店街の意 には目がありませんね。装飾のためのトリムを探すオールドデリーの「キナリバザール」、混沌と香りが漂う「カリ・バオリ」、そして忘れられた職人に偶然出会える路地。けれども一番は、デリーの中につくり上げた小さな「péroの世界」です。そこはオアシスのようで、時には別の宇宙にいるように感じられる場所です。
画像

ニューデリーのパトパルガンジ工業地帯にある、péroのショップ兼アトリエ。デザイナーのアニースの活動拠点でもある。

画像

画像

画像

H.P.FRANCEの40周年に寄せて

H.P.FRANCEとの関係で印象に残っている瞬間や言葉はありますか?
初めてH.P.FRANCEのお店に私たちの服が並んでいるのを見た時、その愛情と情熱に心を打たれました。péroの言語をすぐに理解してくれていると感じ、まるで心でつながっているようでした。皆さんは常に“個性”と“手仕事”を尊重してくれて、それは私自身と深く共鳴しています。

最後に、H.P.FRANCEと日本のお客様へメッセージをお願いします。
この素晴らしい節目を心からお祝い申し上げます!妥協なくクラフトマンシップとクリエイティビティを大切に、péroを提案する空間をつくってくださってありがとうございます。
そして、日本のお客様へ...心に響くものを選び続けてください。それこそが、長くあなたのそばに寄り添ってくれる存在になるはずです。

péro 2025年秋冬コレクション発売中!

画像

伝統的なクチュール技術と多彩なテキスタイルが織りなす、péro(ペロ)の2025年秋冬コレクションが登場。フローラルやギンガム、ストライプを組み合わせた華やかなパッチワークドレス、シルク100%のフラワープリントシャツ、クラシカルなチェックのワイドパンツ、ハンドステッチが際立つアートピースのようなジャケットなど、唯一無二の世界観をお楽しみください。

【péro 取り扱い店舗】

destination Tokyo
営業時間: 11:00~21:00(土日祝日 10:30~21:00)
住所: 〒160-0022 東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿 B2F
電話番号: 070-3109-4687