1997年にデザイナーの曽我部美加(そがべ みか)が設立した日本のバッグブランド、eb.a.gos(エバゴス)。そのものづくりは、越谷にある一軒家の工場で完結する。
デザインのゴールは最初から決まっていない。デザイナー 曽我部美加は、デザイン画を起こさず、まずは彼女の頭に浮かんだイメージをラフに落書きするところから始まる。そこから適当な生地で型を作り、さらにレザーで形を整えたものがデザイン画の代わりとなる。チームで話し合いながら、どんどん方向性を変えていくのが常で、それこそがeb.a.gosのものづくりの特徴と言える。「針一本から、知らないところがない」と胸を張り、素材の出どころも工程も把握し、手作業だからこそ細部までこだわり抜いている。
 
  
  
  
    eb.a.gosデザイナー 曽我部美加(そがべ みか)、越谷のアトリエにて。
 
  
  
  
    
籐×革という素材へのこだわり
eb.a.gosといえば、紅籐と革の組み合わせが象徴的だ。紅籐は今や希少で入手も難しいが、「個体差や季節ごとの扱いの違いが面白い。無骨だったりムラが出たりするのも好き」と、曽我部は目を輝かせる。機械で均一に加工された丸芯では出せない表情な上に、バッグに使用する素材として、強度も優れている。そして何より、革との相性が最高なのだ。
革は、曽我部がブランド創設前からずっと憧れていたという、“革の王様”とも呼ばれるブライドルレザーを使用。蝋が塗られた艶感、切り目の美しさ、ナチュラルタンニンによる経年変化の風合いに加え、馬具用ならではの耐久性と耐水性を備える。「紅籐とブライドルレザーを初めて合わせた時、どちらも引き立つ感動的なバランスだった」と頬を緩める。それはまるで、二つの素材が互いのために存在しているかような、必然的な相性だった。
革は、曽我部がブランド創設前からずっと憧れていたという、“革の王様”とも呼ばれるブライドルレザーを使用。蝋が塗られた艶感、切り目の美しさ、ナチュラルタンニンによる経年変化の風合いに加え、馬具用ならではの耐久性と耐水性を備える。「紅籐とブライドルレザーを初めて合わせた時、どちらも引き立つ感動的なバランスだった」と頬を緩める。それはまるで、二つの素材が互いのために存在しているかような、必然的な相性だった。
 
  
  
  
    
 
  
  
  
    
天然素材を扱う制作の日々は、予想外の連続だ。紅籐は一晩水に浸して柔らかくしてから編むが、季節や湿度によって仕上がりが変わる。「予定通りにいかないからこそ、“じゃあこうしてみよう”という発想が生まれる」。失敗やアクシデントすら楽しむ姿勢は、工場全体の空気にも表れている。
 
  
  
  
    アトリエの天井に吊るして保管される、編み終わった紅籐のバッグたち。
 
  
  
  
    紅籐の制作現場。一点ずつ手で編んでいく。
レディの品格を添えて。ユーザー目線の実用性と使い心地。
一つのバッグが完成するまで、eb.a.gosのチーム内では何度も会議が開かれる。文鎮のような重いものを入れて持ってみたり、色々な持ち方を試したり、飾りのパーツが使い手にとって邪魔にならないかを検証したりと、使いやすさや使い心地を追求していく。さらに、一度完成した商品であっても経年変化や強度を見ながら、改良が重ねられている。シーズンごとに微調整を加えていく作業も、アトリエと工場が同じ場所にあるからこそ叶うこだわりの部分だ。
 
  
  
  
    チームeb.a.gosの方々。胸元にブランドの頭文字「E」が印字されたお揃いの作業着を着用。
そして、バッグの中のポケットやバッグに付属する鏡やチャーム、開閉の工夫など、細部の“仕掛け”もeb.a.gosらしさの一つだ。「私たちには、ブランドを初めた当初からずっと大切にしている“捨てないね”という言葉があります」と語る曽我部。eb.a.gosでは裁断した残りなど、どんな素材も生地も捨てないことをポリシーに掲げ、裁断後の残りやブライドルレザーの床処理後の端切れなどの“捨てないね”を活用して、付属品を製作している。
なかでも曽我部がこだわるのは、端材で作った小さな鏡。「バッグを開けた時、鏡がチラッと見える感覚を味わってもらいたい」。クラシックなバッグを愛する彼女だからこそ生まれた発想と言える。
なかでも曽我部がこだわるのは、端材で作った小さな鏡。「バッグを開けた時、鏡がチラッと見える感覚を味わってもらいたい」。クラシックなバッグを愛する彼女だからこそ生まれた発想と言える。
 
  
  
  
    様々な種類の型が収納されたコーナー。
 
  
  
  
    コバ塗りの作業。
 
  
  
  
    仕上がったレザーパーツ。
 
  
  
  
    制作途中の紅籐のパーツ。
 
  
  
  
    約10トンの重量の機械で革を裁断していく。
 
  
  
  
    革を美しく磨きあげる工程。
2025年秋冬コレクションについて
eb.a.gosの2025年秋冬コレクションのテーマ『チョコレート』にも、ブランドのルーツが垣間見える。曽我部が学生時代の一人旅で訪れた、イギリスのオペラハウス。最上階から見下ろした一階前列では、上流階級のようなファミリーがチョコレートの箱を回して食べていた。その優雅な佇まいと、当時の自分の不安が交差し、“そのチョコレート”を食べてみたいという気持ちが記憶の奥底に刻まれたのだという。
「カゴバッグだからといって“ほっこり”に寄らず、クラシックな雰囲気の中にクスッと笑える楽しさを入れたい」とデザインへの想いを語る。紅籐と革、クラシックと遊び心。その絶妙なバランスこそが、eb.a.gosのバッグを唯一無二の存在にしている。
「カゴバッグだからといって“ほっこり”に寄らず、クラシックな雰囲気の中にクスッと笑える楽しさを入れたい」とデザインへの想いを語る。紅籐と革、クラシックと遊び心。その絶妙なバランスこそが、eb.a.gosのバッグを唯一無二の存在にしている。
 
  
  
  
    アトリエの入り口にはカカオ豆のオブジェや、巨大な板チョコレートのパッケージなど、コレクションのまつわるアイテムがディスプレイされていた。
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