The Magpie & The Wardrobe 前編 | アンティークが教えてくれる、完璧じゃない心地よさ

目次

傷や色褪せ、わずかな歪み。完璧ではないからこそ、手にした瞬間に身体になじむアンティーク。
フリーのアンティークバイヤーとして活躍してきた、The Magpie & The Wardrobe(ザ・マグパイ・アンド・ザ・ワードローブ)のデザイナー、サム・マックニーのインタビュー前編では、ロンドンの自宅で語る、不完全さに宿る“美しさ”と、ものづくりの哲学を紐解く。




サム・マックニーのものづくりについて

サムが日頃、多くの時間を過ごすというダイニングキッチン。彼女の作業デスクもこの部屋にある。

―作品制作において、あなたが最も大切にしていることは?
私はアンティークパーツを使っているので、まったく同じものは作れません。同じデザインでも必ず個体差が生まれ、それが好きなんです。仮に、誰かがフェイクのヴィンテージ“風”生地で美しいバッグを作ったとしても、私には美しく感じられない。そこにソウル(魂)がなければ、全然違うものになります。

本物のアンティークとは、手に取ると自然に身体に馴染むもの。穴が空いていたり、不完全だったりするところも含めて美しい。完璧すぎると、どこか退屈になってしまうでしょう?つい最近、日本人の友人が、この感覚を「NUKE(抜け)」という言葉で表現してくれました。

いつもの定位置でリラックスした様子のサム。

ふだん使いのプレートやコンポート皿もアンティーク。

子どもの頃はプリンセスが大好きでしたが、「美女と野獣」で惹かれていたのは、主役のプリンセスよりも、その背景に映る、光と影を宿したバラ園でした。「完璧なものにはうんざりさせられ、不快にさせられてしまう」という、かの有名なイギリスの小説家 ジェーン・オースティンの考えにも深く共感しています。

―普段の作業の様子を教えてください。
毎日、ダイニングテーブルの窓側の席が私の定位置です。この席の何が特別かというと、北から差し込む光がポイントなんです。色に関わる仕事をする人にとって、北光は色を最も正確に、美しく見せてくれると言われています。朝8時頃から作業を始めて、長い時間ここで過ごします。

サムの作業デスク。大きな窓越しに見える裏庭の植物が四季を映しだす。

―お気に入りの道具はありますか?
東京を訪れた時、ロフトで買ったプライヤーですね。ジュエリー制作でチャームをつけるときには欠かせません。
この針山もとても古くて、おそらく中国のものです。何度も布で包みながら、ずっと使い続けています。ポニーテールが取れてしまった人形や、小さな蝶々の飾り、花の刺繍など、どれも少しセンチメンタルで、懐かしさを感じさせてくれます。「150」のマークは、消防士だったパートナーのスティーブンが所属していた、ロンドン消防団の150周年記念のもの。

日本産メーカー「KEIBA」のプライヤー。

長年愛用している針山。

ダイニング照明。ホリデーシーズンにはクリスタルのボールを吊るしてデコレーションするそう。

―生地を選ぶときの基準は?
何より大切なのは「色」ですね。柄同士の組み合わせが、唯一無二の特別感を生み出します。

H.P.FRANCEとの出会いと、goldie H.P.FRANCE 25周年への想い

―H.P.FRANCEとの最初の出会いを覚えていますか?
もちろん覚えていますよ。25年前、goldie H.P.FRANCEがスタートした頃から、「ボタンバッグ」を展開していました。きっかけは、私のバッグが英国版VOGUEに掲載されたこと。ある日、H.P.FRANCEのロンドン在住スタッフから電話がかかってきて、最初は冗談だと思ったくらいでした。

―2025年秋に迎えた「goldie H.P.FRANCE」の25周年に合わせて、どんな作品を制作しましたか?
アンティークのリバティプリントを使い、「Happy Birthday!25♡」の刺繍を施しています。ヴィンテージレースや、アイテムごとにすべて異なるパッチワークの裏地もポイントです。ひとつひとつに物語があることが、何より大切なんです。花の刺繍が施された生地は、1940年代のテーブルリネンだったもので、アンティークフェアで見つけました。

刺繍と柄づかいが印象的な、goldie H.P.FRANCEの25周年を記念する限定トートバッグ。

アンティークのリバティプリント。

25年前の、goldie H.P.FRANCEスタート時から展開してきた「ボタンバッグ」のアーカイブ。

―最後に、H.P.FRANCEとあなたのファンであるお客様へメッセージをお願いします。
Happy Birthday!私のアートワークを愛してくださって、ありがとうございます。また日本のお客さまにお会いできる日を楽しみにしています。H.P.FRANCEと出会わなければ、デザイナーとしての今の私はありませんでした。四半世紀に渡る揺るぎないパートナーシップに、心から感謝しています。

鮮やかなグリーンに塗られたドアが印象的な玄関。

サム流に心地よくアレンジされたイングリッシュガーデン。

※サム・マックニー インタビュー後編「アートとアンティークに囲まれた暮らし」は2026.2.17公開予定!

- Brand Profile -
The Magpie & The Wardrobe(ザ・マグパイ・アンド・ザ・ワードローブ)

ロンドンでフリーのアンティークバイヤーとして活躍していたSam McKechnie(サム・マック二ー)。2002年に「よりパーソナルなものを作りたい」とアーティスト活動を始めてすぐに、ロンドンのバイヤーの目に留まり、本格的にブランドをスタート。サム自ら集めたヴィンテージのチャームやファブリックから生み出される、ユニークでどこか懐かしいアイテム達は、スウィートでロマンチックな世界観で溢れている。




【The Magpie & The Wardrobe 取り扱い店舗】
goldie H.P.FRANCE 新宿/ 二子玉川
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Déclic 有楽町/ 大阪
H.P.FRANCE 公式オンラインサイト

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