The Magpie & The Wardrobe(ザ・マグパイ・アンド・ザ・ワードローブ)のデザイナー、サム・マックニーのインタビュー後編をお届け。
ロンドン・テムズ川の南岸、バス通りの喧騒を離れ、ひっそりした小道に立ち並ぶチャーミングなヴィクトリアンハウスのひとつが、サムのスタジオでもある自宅。歴史と物語を宿したインテリアでレイアウトされた空間には、アンティークとアート、家族の想い出が自然に溶け合い、心地よく暮らすためのヒントが詰まっている。
自宅というミュージアム、暮らしと創作
私とパートナーのスティーブンそれぞれが、互いの家族から受け継いだもの、アンティークマーケットでセレクトしたもの、旅行先で購入したもの、そして、私たち二人の作品に加えて、娘たち、友人によるアートワークなどなど、本当に様々です。
―ロンドンでよく訪れるアンティークマーケットがあれば教えてください。
ロンドン西部で毎月開催されている「チズウィック・カーブーツセール」がお気に入りで、素敵なテキスタイルをよく見つけています。あとは毎週金曜日、ポートベローマーケットに隣接する、ノッティング・ヒル地区の「ゴルボーン・ロード・マーケット」にも良いものがありますね。
至る所にアンティークのアイテムが置かれたキッチン。
キッチンの小さな暖炉。壁のプレートはナタリー・レテのハンドペイントや、アンティークマーケットで買ったものなど。
キャベツに蛇のハンドルが付いた、ヴィクトリア時代のティーカップ。
1920年代のいちごジャムの缶詰。
キッチンの小さな暖炉の上には自作のフェアリーが。
異なる好みが響き合う、家族の記憶が重なる空間
それぞれのパーツに物語があります。私もスティーブンもチェルシー・アーツ・クラブのメンバーで、ちょっと風変わりで面白いものを集めるのが好き。好きなもので溢れているから、選び抜いてキュレートするのが楽しいんです。美術館みたいにね。
共通点があるとすれば、色の組み合わせや、古いものと新しいものをミックスする感覚でしょうか。私は、たとえばISSEY MIYAKEの服にアンティークバッグを合わせるようなスタイルが好きなんです。二人とも、こんな風に好きなものに囲まれた暮らしができるのは、本当に幸運なことだと思っています。
廊下に設置されたキャビネットには、沢山のミニチュアオブジェが赤、ピンク、オレンジ、ブルー、グリーンなど色別にディスプレイされている。このうちの何点かは、彼女の書籍の中にも登場する。
中央の水色の車は、サムが最初に買った懐かしい車のミニチュア。チズウィック・カーブーツセールで見つけたもの。
サム自身が手がけたアートワークで、ビクトリア時代の小さな箱の中に物語を閉じ込めた。枯れた花は光と影の中で再び息づき、その二面性に希望を表現。
廊下の壁にはファミリーポートレートが沢山飾られている。消防士時代のスティーブンやサムの写真、アーティストの作品など。
スティーブンが消防士時代に使っていた制帽のコレクション。30年間のキャリアを物語る。
リビングは、自宅の中で最もアンティークであふれた空間です。一つひとつに物語があり、ただ「美しいから」ではなく、時間や記憶を蘇らせるもので満たされています。
暖炉の上には、1810年代のフィッシャーウーマンのアンティークオブジェを飾っています。私は海の近くで育ったので、海にまつわるモチーフには特別な親しみがあります。壁に掛けているミラーはヴェニスのアンティークで、ディーラー時代に私自身が買い取ったもの。完璧ではない、その歪みこそが美しいと思っています。
サムのお気に入りの鳥。ネックレスも彼女が着用させたもの。
グリーンのガラス製ボールは、悪いスピリットから守ってくれる「魔女のボール」と呼ばれる、ヨーロッパの伝統。
右の逆三角形のオブジェは、冷戦時代に興味を持っているスティーブンが購入した、戦闘機の脱出シート。左に見える医療用スタンドライトも彼のセレクト。上下に稼働するので、サムが作業に使用することも。
二枚並んだ女性の肖像画は、スティーブンのお祖母様(左)とサムのお祖母様のもの(右)。下段にはサムのお父様が飼っていた犬の絵を。
壁面の至る所には、二人が家族から受け継いだアートが。スティーブンのお父様は著名なアーティストで、作品はテートギャラリーにも所蔵されているそう。
サムの書籍にも登場する、ヴィクトリア時代のアンティークドールハウス。
一つ一つの部屋の小さなピースを、サムがそれぞれアンティークマーケット等で見つけては付け足してアレンジしていった。
ドライフラワーは、剣山に刺してデコレーション。
スティーブンはインダストリアルなテイストが好きで、彼が30年間ロンドンの消防署に勤めていた背景もあり、消防士に関するオブジェも多いです。一方で、私はアンティークが好き。好みはまったく違いますが、その違いこそが楽しい。
どちらか一方のテイストだけで揃えてしまうと、どうしても“やりすぎ”になってしまう。異なる感性を組み合わせることで、空間に余白やバランスが生まれます。お互いの好きなものを尊重し合いながらキュレートしていくことで、自然で心地よい空間になるのだと思います。
2階に続く階段の壁一面にも、家族にまつわる沢山のポートレートやアートを展示。
吹き抜けの天井には、コロナ禍のロックダウン時期に、スティーブンが牛乳瓶などから作ったミリタリーオブジェが。
コーンウォールにて、友人アーティストに、ビクトリア時代のカメラで撮ってもらったサムとスティーブンの写真。撮影自体は2023年。
サムが赤ん坊の時に最初に履いた靴を、彼女のお母様がシルバーメッキさせてオブジェに。
金魚の壁紙がアクセントになったバスルーム。壁紙は以前サムがマーケットで見つけて、出番が来るまでずっと保管していたもの。
- Brand Profile -
The Magpie & The Wardrobe(ザ・マグパイ・アンド・ザ・ワードローブ)
ロンドンでフリーのアンティークバイヤーとして活躍していたSam McKechnie(サム・マック二ー)。2002年に「よりパーソナルなものを作りたい」とアーティスト活動を始めてすぐに、ロンドンのバイヤーの目に留まり、本格的にブランドをスタート。サム自ら集めたヴィンテージのチャームやファブリックから生み出される、ユニークでどこか懐かしいアイテム達は、スウィートでロマンチックな世界観で溢れている。
2026年2月20日(金)新作コレクション発売!
■取り扱い店舗
H.P.FRANCE 札幌店(大丸札幌店 3F)
goldie H.P.FRANCE 二子玉川店(玉川高島屋S・C 南館 1F)
goldie H.P.FRANCE 新宿店(小田急百貨店 新宿店 1F)
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