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    Minakusiとの忘れられない7つのこと

    対談 Minakusi永井健一さん・英里さん x バイヤー土村


    2022年7月末にて、21年間続けてきたお店としての幕を閉じる水金地火木土天冥海。

    水金の20年は常にMinakusiさんと共にありました。

    気品のあるバランスで仕上げられたMinakusiアクセサリーを身に着ける事を通して、

    民族たちの誇り、その生活の尊さ、
    生きるための祈り、 様々な美意識を習いました。

    Minakusiさんと水金の忘れられない
    7つの事を振り返ります。

     



     

    1. 始まりの鈴のアクセサリー 「妬みよけ・悪気除け」として身につけられてきた背景

     


    土村:2001年Minakusiさんに最初に出会った時に鈴束のブレスレットを拝見して、とても衝撃的でした。鈴が私たちにとっての始まりでした。 どのようにして鈴に出会ったのですか?

    英里さん:もともと様々な民族が持つ多様なデザインの鈴に惹かれ、コレクションを始めました。アイデンティティーとしての民族固有のデザインから、近代の、マンゴー・桃・牛の顔など遊び心あふれるデザインまで、小さなものの中に凝縮されたユニークさがたまりません。

    ミャンマーのチン族とかナガ族の鈴が面白くて、こちらはインドの鈴。こちらはネパール。

    あとは唐辛子の鈴とか、桃の鈴は清朝。大きいのは大体ラオスのカウベルです。


     
    土村:これだけいろんな民族がいろんなデザインで作ってきている、鈴ってすごいですね。

    健さん:妬み除け、魔よけ的な使い方と、宗教的なもの、祈祷するときに使ったりなどの背景もありますが、空間を浄化する、そんな力があるように思います。

    土村:私がこれらを現地で見つけても、なんかいいなとは思うけど、どうやって身につけたらいいかわからない。
    そんな素材を素晴らしいアクセサリーに変えてこられたお二人がすごいです。

    英里さん:鈴なりの形は着けていると、何故か、その人の気品が溢れ、美しい姿に見えます。
    それはきっと、植物の実や昆虫や魚などの卵など自然界の生命の源に似ているし、何となく女性のDNAに刻まれた気高さに通じているものなのかな、と思います。
    よく皆さん葡萄ともいいますね。
    土村:これもバランスよいですね。月の中にさらっと鈴なりの葡萄が。
    今回の新作です。

    英里さん:鈴が魔よけとして民族が使っていることからかな、その後どんどん御守りといわれるようなものを集め始めて。

    呪術的とまではいかなくてもお守りをアクセサリーとして愉しんで頂くという、一つの遊びというか、そういうものとして作り始めた経緯がありますね。

    鈴束と呪術的な牙や蛇骨を合わせたり、鈴から今の流れができました。
     

    2. 野性味のある牙爪など勇敢なアクセサリー 自然への畏怖や尊敬から直感、身を護るもの

     

     
    土村:鈴束と牙とか、熊爪といった野性的な素材をアクセサリーにするという発想はどこからですか?

    英里さん:旅を始めた当時、タイ北端のアンティーク屋さんには、鈴の近くに大体牙が置かれていて。

    ミャンマーの民族の人たちは牙とか熊の胃とか、漢方薬として煎じていました。

    山羊の角は鉄砲の火薬入れとして使っていたり、穴を開けて身につけられるようになっていたり。
    健さん:これは装身具として使われていたオリジナル。
    首から悪い気が入ってくるからそれを守るものとしてこうして(首にかけて)身に着けて。

    土村:これはすごいですね!!!

    健さん:猟をして狩った命を自分が身に着けて、動物の力を自分にも取り入れるというか
    例えば大きなマンモスを狩って、それの何かを身に着けていたら、
    あいつあんなの捕ったのかって。
    あいつにはかなわねえやって。

    それが自分を守る事にもなるし、自然の直感的なもの、第六感でこれはすごいと思うこと。

    英里さん:アクセサリーの起源は原始の人たちが身に着けた、骨とか牙とか皮だったり。
    だから私たちもこの牙や角などは、今作れる、というときにしか作れないんですよ。
    土村:その作れる時っていうのはどういう時なんですか?

    英里さん:心が満ちている時に、身を引き締めて取り掛かるようにしています。
    取り掛かる気が起きない時は作らず、閃きが降りてきた時だけ作ることができます。
    最近だと年明けです。去年の全部が終わってまっさらな時とか、無性に作りたくなる時があるんです。やっぱりここが原点だなって。
    今回は熊牙がありますね。この熊牙ネックレスには、いいチベタンターコイズとアンバーがついています。

     


    土村:とてもいいですね。すごいバランスです。 こういうものを水金のお客様が身に着けて下さる時、かつての民族の人たちと同じ感覚があると思います。
    ここ日本に住んでいても、このアクセサリーを身に着けるとなんだかちょっと勇敢になれるというか。
    そういう感覚のものって、他にはないと思うんですよ。

    英里さん:その人自身が選択して連れていくような、ペットみたいな感じ。笑。
    あなたを守ってあげますみたいな、一歩引いてお供しますっていうのがMinakusiの牙のアクセサリーじゃないかって。

    土村:ジブリ映画でも必ず主人公に人間じゃない小さな相棒がいるじゃないですか。
    あの感覚に近いんですかね。

    英里さん:ああ、嬉しい。




     

    3. アンティークを身に着けることの面白さ
    -アフガン・インドのアンティークコレクション

     

    土村:アフガンやインド、清朝のアンティークなど、博物館級のアンティークを、見るだけではなく、美しいバランスとなって身につける事ができる、そんなあり得ない体験を20年させてもらいました。

    英里さん:これってこのままだと欠けていたり、間延びしていたり、でももうちょっとこうなったらエレガントになるとか、他のパーツを足して、と何とかしてあげたいという。
    どうしたら新しい主にもっとこの子が愛されるようになるかな?ってそれがたまらない。
    これがつけられていた当時と、今のファッションはちがうから、今に合うようにカスタマイズしてあげたほうが、よりつけやすくなるんじゃないかなって。

     
     
    健さん:特に財産として身につけられてきたものだからすごくすべらかで、そういう愛されてきた歴史が伝わってくるから、アンティークの触覚がすごく好きです。

    英里さん:1代でだけで終わってない、3世代4世代伝わってきてるから。
    清朝とかのほうがもう少し固い感じがするんですが、 でもインドのものってどこも引っかからない、手のひらでずっと触っていたい。
    土村:インドのもののほうが長く何世代にも渡って使われているのですか?

    健さん:はい、あと生活の中に入り込んでいるような気がします。
    年中身に着けてられていたというか。
    これが、私、という主張のものであり、財産だから。
    中国とか清朝のものは、ファッションとか、遊びであって、こういう時につける、こういう時はしまっておく、という使い方が多いのかな。
    インドやアフガニスタンのものは、沐浴するから外すってことがないもんね。

     

    土村:インドとアフガンのアンティークの違いはありますか?

    健さん:インドのものはヒンドゥの神様が彫られていたりとか、孔雀がいたり。
    アフガニスタンのものは幾何学的な模様が多かったり、形が宇宙、モスクを表したり、アフガニスタンの春の象徴がチューリップだから赤がたくさん入っていたり、珊瑚とかターコイズの色が入っています。
    英里さん:世界中の民族の人々が銀の装飾品を身に着けるのは、一番月の光を反射するから。
    その輝きに神が降臨している様子を、怖れをはねのけるもの、として見たからだと思います。

    健さん:それぞれの言い伝えや生活習慣やその土地に合わせて生まれた、民族のアイデンティティから生み出された異なるデザインが、私たちをいつまでも楽しませてくれるのだと思います。
    生活道具も面白いです。耳かきとか、毛抜きにもデザインがされている。
    新作のネックレスに仕上げています。

     

    4. 名もなき石の美しさ -天然石や水晶の作品たち

     


    Minakusiの作品にはアレンジされている天然石はきらきらではなく、味わいのある魅力的な石が多いですね。健さんが石を専門にされていたとか。

    健さん:南米を旅しながら、道に転がる原石の内なる神秘的な模様や色や形は、地球の内部で何千年とかけて形成されたんだなぁ、と。
    その浪漫に魅了されて、天然石に携わるようになりました。
    どうやって加工すればいいんだろうとか、切ったらどうなってるんだろうか、そういう石遊びの感覚で、南米の後、インドでルンギ(男性が巻く巻スカート)を巻いて石を磨いてました。

     


     
    土村:Minakusiの水晶のセレクションは素晴らしいです。

    健さん:日本でも母神体が山である事があるように、ヒマラヤにも気高くそびえる聖山があります。
    そこで採掘される水晶も、そのバックグラウンドだけでなく、実際に手に取る者を魅了する何か清廉な力強い美しさがあります。
    水晶ってずっと飽きない。
    削らなくてもこうやって輝いて見えてっていうのも魅力的。

    土村:アンティークの鈍い寂びたようなものと、一瞬の輝きをもつ石の組み合わせ、Minakusiのそれにやっぱり惹かれます。
    両方を引き立てるというか。 二人の選ばれるアンティークの色と、石の色、相性がいいですね。


     
    英里さん:経済的に明確な価値や答えがあるダイヤやルビーというわけでもないのに、何か無性に惹きつけられるもの、そういう天然石を収集し、Minakusiらしいアクセサリーへと昇華しています。
    これも名もなき石ですね。
    縞模様が入っていたり。
    古代の人々も縞模様に影と光を投影し、また、目のように見える模様などをお護りとして身につけてきました。

     

    健さん:これはエビ石。南米の砂漠に行ったときに拾ったの。多分メノウだと思うんですが。
    日々新しい名の天然石が現れています。
    この私が「エビ石」と名付けた名前のない石も、そのうち名前が解き明かされる日が来るのかなぁ。

    5. 高尚なアジアの手仕事のアンティーク
    -清朝アンティーク、繊麗シリーズ

     

    土村:高尚なアジアのアンティーク、清朝のアンティークコレクションは10年前くらいから登場しましたかね?

    英里さん:実はその前からもあったと思うのですが、清朝のものだと私たちも分かったのが最近だったというのが正しいのかも。
    北タイのものかと思っていたら、清朝のものだった、とはっきりわかったのがこの本から「Four Centuries of Silver」



     
    健さん:この本すごいですね。この本観た時、感動した。
    清朝は400年あるから物は結構あるはずなんですけど、コレクターがいてどんどんどんどんなくなって。

    英里さん:400年にわたる清朝の間、55の少数民族が競い合うように装飾品を作ってるんです。
    宮廷や貴族に使える職人から町の職人、はたまた山々に囲まれた小さな村の職人さんもいて。

    英里さん:聖獣や、言い伝えやダジャレなどを交えた縁起ものも面白くて。
    今にも動き出しそうな描写も素晴らしく、ユーモアと愛情が詰め込まれています。
    人々の生活の中で心を豊かにする欠かせない装身具が生み出されたんですよね。
    遊び心のある芸術的な構図は、私達も魅了されて止みません。
    だからこそ、その意思に沿えるような繊細で美しい作品に仕上げようと心がけています。
    新作の長命鎖のネックレスは表面が刀図、裏面に三果図。
    土村:こんなに丸い七宝細工もあるんですね。鳥も彫られていて

    英里さん:これは七宝の透かし玉の新作。 カササギが梅の花の木で鳴いている喜びの構図なんですよ。

    土村:うーん、やっぱり雅ですよね。このシリーズは。

      

    6. 世を鎮める祈りの赤紐シリーズ
    -インドやタイの神様プレートなど

     


    土村:コロナ禍にお願いした、赤紐の神様シリーズです。世の中の情勢からギュッと胸が締め付けられた時期だったので。
    神様シリーズやプラクルアンなどご披露してくださって、皆様が気に入ったものを見つけて下さってよかったです。
    赤紐で仕上げてくださるMinakusiの中でもシンプルな作りになりますね。

    英里さん:なんかね、罪悪感もある。笑

    土村:そうですね、シンプルすぎて?笑

    英里さん:でもね、だからこそずっとつけていられるような。
    軽いから、身体にフィットする感じもあります。

     

    土村:この神様プレートたちってどんなものなのでしょうか?

    健さん:広大なインドでは、洪水や干ばつ、地震などの大災害が絶えず繰り返されるがゆえに、生活の中にヒンズーの神々への信仰が深く根付いています。
    ヨーグルトをかき混ぜる棒や滑車、路傍の石にも神々が彫られていたり、道を歩けば至る所で神々に出会うんですよね。
    人々は皆、神が彫られた小さな銀のプレートを紐で腕や首に巻いていて、信仰の深さが伺えますね。

     

    英里さん:基本、赤ちゃんの頃から腰に紐を付けてプレートつけて、裸でみんな歩き回っていて。
    大人になると腕につけます。

    健さん:ヒンズー教では沐浴が欠かせないので、僕らがよく行ったプシュカルの湖の底には、沐浴時に外れてしまった神様プレートが沢山落ちています。
    それを村の子供達が、誰かの念願成就されたであろう神様プレートを拾い集めてきて、アンティーク屋さんにおっちゃん「これ買ってくれー」って持ってきて、そのお金をもって喜んで駄菓子屋に走っていく光景を見ました。
    ああ、こうやって物って回ってるんだなって、こうして私たちの手元にやってくる神々なんだなって。
    愛おしくてすごく幸せな気持ちになったよね。

    土村:子どもたちもかわいいですね。

    7. One of a Kind 
    お客様と交叉する瞬間とその魅力 -オーダー会で生まれたもの

     


    土村:そして最後にオーダー会ですね。
    お客様にとっては、まずお二人のフィルターを通して選ばれた、間違いのないアンティークコレクションを目にして、宝探しをして。
    選んだアンティークを介して健さん英里さんと対話をして、一つのものが作り上げられていくという、すごいプロセスです。
    貴重な体験、いつも素晴らしいイベントをしていただいてありがとうございます。
    毎回素晴らしい大作が生まれるじゃないですか。


    英里さん:水金のお客様とMinakusiって共鳴しているなぁ、と展示会の度に感慨深く思います。私たちが装身具や石、パーツたちに感じる事や込めた想いを、皆さんが救いあげて、受け入れてくださっているのを常に感じます。




    土村:ご自身のひらめきで作られるものと、お客様のご要望を伺いながらお作りになるものにはどんな違いがありますかね?

    英里さん:お客様の想いを紡ぐのがオーダー会です。
    どういう想いがあるのかを聴き、その後は今どんなものを身につけているか、どんな色が好きなのか、と伺って工房へ持ち帰ります。
    そしてじっくりと工房でお客様の想いに対峙していると、このお客様は肩こりとかいってたな、とか、じゃあちょっと軽いものを使おう、とか、こういう感じのお洋服だったり、ジュエリーだったからそこに合うものを、とか、この前はああいうの作ったから、今回はこういうのとか、重ね付けできるものをとか。
    長く愛用していただけるように、使い勝手や、その方に合う雰囲気をイメージして作る楽しみがあります。

     

    健さん:オーダー会じゃないと作れないものもあります。
    主役級の装身具を2つ同時にひとつの作品に使ったり、そんな贅沢な作品を作らせていただけるのはオーダー会ならではの醍醐味ですよね。

    英里さん:これをこの場所で、などの難題の依頼があったりすると、どう重力に逆らおうか思案して...ふと、あ!こうすれば良いんだ! って閃く瞬間があるんですよ。
    オーダー会ならではの気づきがあったり、デザインが出来上がったり。
    苦しみでもあるけど快感でもある。
    それが次のシリーズにいかされることもあります。

    健さん:水金スタッフが和ませてくれるので、スタッフさんありきです。
    私達も、お客様もオーダー会では緊張していますからね。
    有難いです。

    英里さん:お客様のお持込みいただく思い出のある大切な物でのオーダーも、 ここにご持参いただいた、その想いを伺うと、私たちの作り上げる作品を信頼いただいているんだなぁと感動します。
    その想いに絶対に応えたいですよね。

    土村:皆様毎回本当に喜んでくださってますね。
    想いを繋いでいるんですね。
    たくさんのお話を聴かせてくださりありがとうございました。
    Minakusiのアクセサリーは単に、ファッション的なアクセサリー以上に、人の想いや民族の歴史、人が生きること、アイデンティティ、挙げきれないほどの要素が含まれています。
    そして野性味だったり、雅だったり、きらめきだったり、異なる魅力を持つ様々なシリーズがあって、たくさんの方を魅了してきました。
    最後のMinakusi展イベント Last Danceを一つの集大成として、作品を通してご覧頂きたいですね。
    Minakusiさんと出会えて本当に幸せです。ありがとうございます。

     
    Minakusi展 Last Dance
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