アッシュペーセレクション
- 今も、未来も -
#6 D-due スケッチコレクション
アッシュ・ぺー・フランスが数十年に渡り提案してきた、「永遠の定番アイテム」。それぞれのクリ エイターが持つ独自の美学やストーリーによって生み出された名作たちは、トレンドに関係なく、持ち主のアイデンティティを際立たせます。この連載では、誰もが気になるアッシュペーの「あの名作」の魅力を紐解きます。
ガリシアの息づかいと職人の手仕事が光る服
スペイン・ガリシア地方の発祥のブランド、D-due(デ・ドゥエ)。1960年代から続く老舗のドレスメーカーを拠点とし、世代を超えて受け継がれた確かな洋裁のノウハウが、彼らのものづくりのに活かされています。すべての衣服は職人による手作業で作られ、ディティールまで細やかにこだわった形の美しさ・デザイン性・着心地を追求するその意匠を、肌で感じることができます。デ・ドゥエは毎シーズン、デザイナーが生まれ育ったガリシアの風土や、そこで暮らす人々をコレクションテーマに添えており、洗練されたデザインの中にもゆったりとした静かな時間が流れるような、唯一無二の世界観を発信し続けています。シリーズの中でも根強い人気があるのが、ブランドの真髄を最もシンプルに伝えている「スケッチ・コレクション」です。まるで絵画のスケッチのように、真っ白なキャンバスの上で形を探り、構築していく過程。シンプルながらも体を美しく見せるカッティング。極上の肌触りと肌に乗せたときの初々しさ。さらに、風通しの良い軽やかな着心地。リネンをメイン素材に、どんな服とも組み合わせやすいベーシックなデザインで、ワードローブに寄り添ってくれるコレクションとなっています。
01 色柄をそぎ落とした究極シンプル
絵画においては構想段階の部分、ラフ“スケッチ”を意味する「スケッチ・コレクション」は、アーティストとしての側面を持つデ・ドゥエにとって、毎シーズンのコレクションの骨組みとも言えます。コレクションを制作する際、デザイナーはまずこの「スケッチ・コレクション」から着手し、ひらめきによる直感的な手の動きで洋服の形を模索していきます。最終的にはそこに色付けをするように、コンセプトやグラフィックなどより細かいディテールや仕様が決められていきますが、「スケッチ・コレクション」はそういったプラスアルファのデザインが肉付けされる前の、シンプルに形と素材の良さを実感できるアイテムとなっています。
陶芸家の所作をイメージしたマント型ブラウス。袖周りが広く、ざっくりとしたラフな印象の仕上がり。ブラウス ¥61,600
裾を絞ることで、あわせるアイテムによってシルエットを変えられる実験的なデザイン。ブラウス ¥61,600
02 リネン素材へのこだわり
シーズンによって表面感や厚みは違うものの、「スケッチ・コレクション」はリネンという素材にこだわって製作されています。その理由は、リネンがデザイナーたちの日常にある“紙”に似た、味わいのある独特のシワを表現しているから。さらにガリシアで暮らす人々にとって、リネンは代々受け継がれ大切に使われてきた素材でもあります。そういった背景から、年月を超え、また新たな人の手に受け継がれても愛される服としての、隠されたエッセンスとも言えます。
03 ベーシックアイテムの着回し力
表面的な色柄の特徴をそぎ落とした「スケッチ・コレクション」は、着回し力の高さもその魅力の一つと言えます。季節の変わり目に登場するこのシリーズは、その前後のシーズンコレクションは勿論のこと、あらゆるアイテムと組み合わせがしやすいようデザインされています。独特なパターンや他にはない立体感は、一着加えるだけでも存在感を放つ一方、ベーシックな色味や素材感はオンオフどちらでも使いやすく、コーディネートの選択肢が広がります。